A spell of a promise

ことの元凶は、図書館にあった一冊の本だ。

外国にある有名美術館の所蔵品を紹介する本だった。

本の内容は、美術館に収蔵された品々の写真と、それらに関する説明文。
少年は、恋人と一緒にその本をめくっていた。
そんなものに興味はないと思っていたが、それなりに楽しめるものである。
なによりカノジョは楽しそうだし、美術品の由来などは意外と面白かった。
巻末まで読み進めたとき、事件は起こった。
そこにはさまざまな原因で紛失した品たちの写真が載せられていた。
そのうちの一つに、愛しいカノジョが釘付けになってしまったのだ。
「うわぁ……、かわいい、綺麗……。」
うっとりと目を潤ませる横顔なんて見せられてしまったら、もうイチコロ。
日ごろは自画自賛・傍若無人・唯我独尊・天下無敵なこの少年も、しょせんは
十代半ばの若造(わかぞう)である。
「今度の誕生日にさ、絶っ対、それと同じのをプレゼントするよ。」
つい勢いに任せて、ゆびきりまでしてしまう始末。
あぁ自分の見栄っ張りが痛い、と後悔しても、もう遅い。
精巧なレプリカでもよかっただろうが、この少年にそこまでの財力はなかった。
これが普通の男子中・高校生なら、「やっぱり無理でした!」で終わるのだが、
彼の場合は、下手に情報収集力や行動力などがあったから手に負えない。
少年はがんばった。
そして、こともあろうに 本物 を探し当ててしまった。
紛失、という名の盗難にあってから、某国が何年間も見つけられなかった品を。
人間、やればできるもんである。
ありかがわかれば、問題は手に入れる方法のみ。
例の品を持っていた男は、定期的に行われる賭けゲームの常連であった。
彼は過去3回ゲームに出場し、3回とも同じ品々を賭けている。
その中に彼の目当ての宝物があったのだ。
少年は、さっそくその品を手に入れるため、ある酔狂なゲームへの参加を決める。
参加を決めた一時間後には、彼は着々とゲームの準備を進めていた。
まずは友だちから自分が扱えそうな小さな銃を「くれ」の一言で奪い取り、
別の知り合いには無料で改造させた上、改造弾まで作らせたらしい。
それを怒らない友人たちもアレだが、初めて銃を握ってからものの数時間で
完璧に撃てるようになってしまう少年もかなりアレだ。
(アレって何?とか言われても困るが。)
後に有名になった愛用の得物は、『FN ブローニング・ベビー』。
簡単にポケットに入る、オモチャみたいな銃だ。

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