Waiting in vain
※ caution!! ※
この先には、暴力表現・残虐表現が含まれています。
血や大怪我が苦手な方はご注意を!
また、暴力表現のため、R−15指定になります。
身体か心の年齢が十五歳以下の方は見ちゃダメ。 |
「いくよ。」
「チッ!」
お互いに隙はなし。
察したとたん、二人とも撃たずに駆け出した。
身軽さはやはりキッドの得意だ。
飛んでくる弾。
自分のものとは桁外れの威力を持つ、強い、強い弾丸だ。
油断なく男に視線を飛ばし、キッドは橋の向こうへ。
向こうからの銃弾を橋げたで受け止め、敵に向かって当たるわけもない5発。
それから明後日の方を向け、1発。1発だけ。
鼻筋をもぎ取るような衝撃に男が立ち止まる。
手をやるまでもなく、滝のように鼻から伝う熱い流れ。
涙のにじんだ視界を探すと、弾の飛んできた方にコンクリートの橋があった。
古ぼけた橋。突き刺さるかのように、ぶら下がる銃影。
黒っぽい銃身に、一点だけ銀色に光るところがある。
瞬間、何が起きたのかを知った。
跳弾…!
気づいたらしい男の様子、流し目で確かめて、キッドはゆっくりと。
「けっこうやるじゃない。」
姿をあらわす。
……腕が、吹っ飛ばされるかと思った。
痛みより衝撃が強い、とは聞いていたが、その通りだ。
まだジンジンと熱い。
男の放った弾丸は、たった1発だけ腕を貫いていた。
とっさに骨はそらしたが、見事なものだ。
初弾だった。
「先に当てたのはそちらですねぇ。
腕くらべ、そっちの勝ちにしてやってもいいよ。これで満足なわけ?」
歌うように言う。熱い熱い腕の苦しさは隠して。
「まだだ…。なめたな、俺を!」
男は苦虫をかみつぶした表情だ。
「あ゛の゛銃ば何だ…」
キッドは答えない。
「何だ!?」
鼻がつまって、「ダンダ」に聞こえる。
目標の小鼻を真横から、垂直に打ち抜いたかわいい弾丸。
男の顔の中心からは、だくだくと、濃い血が流れ続けている。
キッドは、打たれた利き腕をかばいながら相手の前に進み出た。
「あんなん、ニセモノに決まってんじゃん。」
鼻で笑ってやる。
「本物と同じ重さではるかに固くて、しかもそっくり。いい出来でしょ?」
男に目をやり、気を緩めることなく。
「跳弾しやすいのを作るのは大変だったんだって♪」
もう片方のポケットから、本物の、相棒。
最初に取り出さなかったB・ベビー。両ポケットを確認しなかったのは相手のミスだ。
古風すぎた男は、奇抜な発想でのやり方が気に入らないようだ。
勝負を汚されたと感じたのだろう。
凄まじい表情でにらみつけてくる。
つくづく、古めかしい男。
きっと、昔の西部に生まれていれば、一目置かれる存在になれたかも。
残念だったね、今は200X年でしかもおれさまがいる。
「約束は、破ってない。使った『本物の』銃は一挺だし、弾数は6発。」
宣告のように告げて、キッドは小さな銃を男に向けていた。
揺るがせもせず。
「どうする?」
銃口を見つめ、男が血と一緒に吐く。
「……1発だ。」
イッバヅダ、に聞こえる。意外と出ている両側からの鼻血のせい。
「1発残じで、抜げ。ごっぢも1発だげ込める。」
「おっけぃ。」
素直に抜いてあげる。珍しく、5発とも。
これで残りは1発だ。いつもなら2発くらい残してやるところだが。
……クラシックなアンタに、敬意を込めて。
銃口は、真っ直ぐお互いの眉間を向いた。
利き腕ではない方に銃を握った少年と、血まみれの壮絶な表情の男と。
なんだか、寂しげな気分になる光景である。
複数の銃声が一つに重なるとき。
本当に十分の一秒の差もなく発射したならば、一発にしか聞こえないという。
そして。
銃声が一つ。
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