02 白銀の世界で、ひとり

ある晴れた冬の日。
砂糖がいっぱいに降り積もった砂糖菓子の雪原を行く。
ふわっふわのクリームで出来た底なし沼を越え、
サックサクのメレンゲで出来た針葉樹林を越えて。
幼い恋の約束事と、
楽しかったあの頃の鼻歌と、
輝いていた日々の笑いと、
希望に満ちた夢、
といった甘く軽い思い出たちを道連れにして。

ある暑い夏の日。
細かい塩の結晶が降り積もった塩っ辛い砂漠を行く。
白濁の酒で出来たオアシスに立ち寄り、
小麦粉と重曹で出来た砂漠のバラを見つけて。
悲しみを紛らわせるための酒と、
憤りを溶かし込む苦い涙と、
流れに流れて今もまだ止まらない汗と、
とにかくも詰め込んだ忙しい事、
といった少しだけ辛い思い出たちをトランクにつめて。

風が吹いた今日。
砕け散った昔のカケラが降り積もった大地を行く。
決して解けない雪のような遠すぎる過去の上を、
果てもない砂のように増え続ける記憶を踏みながら、
旅人は、これからもずっと、旅を続ける。

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