07 ット

雨が降ったなら高い建物を探そう。
雨雲みたいな灰色の高いビルを目指そう。
エレベーターに乗って七階まで昇ろう。
七階に着いたなら窓に駆け寄ろう。
雨粒のついた窓から眺めてごらん。
地上に傘があふれているよ。

一人で開く赤い傘。
相々傘は橙色。
小さな子が回す黄色い傘。
カエル模様の傘はきれいな緑。
お日様が恋しい彼は晴天とよく似た青い傘。
会社へ急ぐあの人はちょっと大きな藍色の傘。
素敵な白髪のご婦人がゆったり開いた紫の傘。

七色に開くたくさんの傘。
あの円に近い多角形の下には、みんな人がいるんだ。
七色に咲き誇る傘の花たち。
あれは一つ残らず、誰かが咲かせているんだ。
雨が降ったなら傘の花を数えよう。
数え切れなくなった頃、きっと雨は上がるだろう。
そうしたら、ホラ、見てごらん!

今度は雨と太陽のいたずらが、七色に空を走る

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