どちらかはわからないが、本当に戦略を立てている方を抹殺して欲しい。
キッドは言ってやった。
どちらも疑わしいのなら二人とも消してしまってはどうか、と。
返事はNOだった。
予算の問題上、という理由で。
この理由を聞いたときにはさすがのキッドもあきれてしまった。
確かにこの手の依頼は人数×単価で値段を決めるから、狙う人数が少ないほど安い。
それはわかるけれど、目標の確定までキッドに押し付けてくるとは。
どちらが本体かを探るのは容易ではあるまい。
なにせ、本人たちを除けば誰も知らないはずのことなのだから。
その分の時間と調査費用はどうしろというのだろう。まったく、非常識な依頼人もいたものだ。
手にした写真をジーンズの尻ポケットに差し入れる。
そろそろ目的地。
圭介の情報によればもっとも理想的な狙撃ポイントである場所だ。
たどり着いたのはレストランの前だった。
広い広い大通りに面した高級そうな店だ。
明後日、例の夫婦による予約が入っているという。
圭介の情報が確かならば、写真に写っていた車でやってくるはずだった。
チャンスは数秒間。
夫婦が車から降りる一瞬の隙。
車内にいる間はいけない。
窓は防弾ガラスに決まっているから、いくら撃ってもムダなだけだ。
完全に降りてしまってからもよくない。
SPたちが二人の周囲を固めてしまい、狙いづらくなる。
乗り降りするときなら上手く隙をつけそうだった。
開くのは店に面した側のドア。
ドアの隙間から車内へ撃ち込む感じでショットを決めたい。
キッドは辺りを見回した。
店の横に駐車場がある。
ここがいいだろう。
仲間の車に乗せてもらって駐車場で待ち伏せよう。
そして目標がやってきたら撃ち、そのまま逃走する。
「うん、OK。あとは……」
顔をしかめるキッドの頭の中を圭介の言葉がよぎる。
どっちがボスかは不確定要素が出てきたんでまだ不明。
明日知らせるから、せいぜい計画でも立てながら待つように。
「頼むぜ、ケイさーん。」
小雨がぱらつきだした天を仰いで、キッドは独り言を言った。